改正道路交通法の施行に伴い、今年4月から自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務になった。この動きに合わせて八王子市では、自転車用ヘルメットの購入費助成対象を従来の「小学生」から「全年齢」に拡大。担当課には、この1カ月ですでに1000件を超える申請が寄せられている。

八王子市では、自転車の利用が増える小学生を対象に交通安全教室などを実施するとともに、2011年度から自転車用ヘルメットの購入費助成を実施してきた。今回の道交法の一部改正に合わせて対象の拡大を決定。350万円の予算を計上し、23年4月1日から申請の受付を開始した。5月2日時点で、上限1750件に対し約6割の1057件の申請が寄せられている。

補助金額は1人1回限りで最大2000円。対象はSGマークなどの安全基準認証を受けている自転車用のヘルメットで、申請には購入時の領収証などが必要になる。道交法の改正が官報に載った22年12月23日から24年3月31日までに購入したものが対象となるが、件数が上限に達し次第終了する。

市担当課は「想像以上の反響。70代以上の申請も多く、報道などで交通事故発生時のヘルメットの有効性が紹介されたこともあり、この機会に購入を検討する人が増えたのでは」と分析。「都の購入費補助事業支援の話もある。上限に達して以降の枠数拡大についても検討している」との展望を示す。市独自の取り組みとして、申請前に自転車の交通ルールやマナーを学ぶ事前学習を取り入れていることも特徴だ。同課は「ヘルメットで身を守るだけでなく、一人ひとりが安全運転を心がけることで地域から交通事故を減らせる」としている。

需要急増で品薄

自転車販売店でも影響が見られる。横山町のレジャーハウスミヤザキでは、年明けからヘルメットに関する問い合わせが急増。同店の宮崎充啓社長は「メーカーにも在庫がなく、全国的に品薄な状況。徐々に市場に出回ってくるとは思うが」と実情を語る。ヘルメット選びのポイントとして、かぶり心地や重さ、通気性などがあるといい、同店の西村征也さんは「メーカーによって形状やサイズも異なり、転倒時に脳を守る『Mips』などの機能を備えたものもある。実際に着用してみて、用途に応じて選んでもらえれば」と語る。一方で「努力義務になったからではなく、万が一に備えて自分の身を守るためにヘルメットをかぶるようにしてほしい」と強調する。

元五輪選手もPR

自転車の安全利用を啓発するため、八王子警察署などが4月29日に自転車競技のオリンピアン・飯島誠さんを招いたキャンペーンを実施した。

飯島さんは八王子自転車安全利用マイスターに任命され、飯島さんの母校・都立八王子桑志高校(千人町)自転車部は同アンバサダーに指定。模範走行パレードや交通安全講話が披露された。飯島さんは自転車死亡事故の7割が頭部損傷で亡くなっていることや、ヘルメットの重要性など留意点について説明した。